第一に、非正社員のコストが高くなるために、非正社員を正社員に登用するなど、かつての日本企業のように正社員中心に人事制度を構築するケースである。ただし、非正社員を正社員化すれば、それだけコストも大きくなるため、既存の正社員の給料をカットするなどのワークシェアリングが行われるだろう。例えば、朝日新聞(2009年3月26日付)によると、広島電鉄は契約社員を全員正社員化し、賃金も引き上げて正社員と一本化することで労働組合と会社側が合意したそうだ。
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この場合、正社員として勤務している300人弱のベテラン社員の給料は月額5万〜6万円下がるため、調整給を支給しながら10年間かけて緩やかに減額する。その一方で、定年を延長することで収入を得られる期間が長くなるため、労働条件の大幅な切り下げは避けられるという。第二に、非正社員を正社員に登用することで、正社員数を増やすものの、人事評価によって正社員を常に競争状態に置くケースである。第一のケースのようにみんなで痛みを分かち合うワークシェアリングでなく、正社員になった非正社員も含めて競争がより厳しくなるケースである。例えば、サービス業の場合、非正社員からの正社員への引き上げ、パートから店長への昇格、中途採用などが積極的に行われてきたが、サービス業以外でも正社員の内外への異動が激しい企業が増えるかもしれない。第三に、非正社員のコストが高まる結果、非正社員を雇うことをやめ、少ない正社員で仕事をフル回転させる自転車操業のような企業のケースである。多くの企業はこのような自転車操業型の労務管理を当分余儀なくされる場合が多いだろう。第四に、非正社員を正社員化するものの、激増するすべての正社員の面倒を見きれないことを理由にして、業務や部署ごとに別会社化するなど積極的なアウトソーシングを行うケースである。将来の経営幹部になる一部の正社員は長期間をかけて純粋培養していく一方で「機械的な人事や総務という仕事にエネルギーを費やす必要はない」と判断して、人事部や総務部そのものを別会社化してアウトソーシングするのである。